PCB廃棄物を処理するまでの流れ
PCB(Poly Chlorinated Biphenyl=ポリ塩化ビフェニル)とは、人工的に作られた化合物の一種のことを指します。
かつては絶縁油や冷却材として広く使用されており、熱に対する安定性からも多くの用途で利用されてきましたが、人体への有毒性や地球環境、生態系への影響が指摘されるようになったことから、1970年代以降においては製造や使用は禁止されています。
本記事では、実際にPCB廃棄物の処理を行う際の流れや、必要な手続きについて詳しくお伝えしていきます。
目次
PCB廃棄物処理に必要な手続きの流れ
PCB廃棄物については、人体への有毒性や地球環境への影響が指摘されていることから、国際的に協力をして廃絶・削減をしていく必要があるとされており、2001年5月に「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」が採択されています。
それにより、日本国内においても「PCB措置法」が設けられ、「低濃度PCB廃棄物」は2027年3月31日までの処分期限が定められています。
そこで今回は、実際にPCB廃棄物を処理することになった場合の全体的なフローや、必要な手続きについてご紹介していきます。
電気機器を探してPCB含有の判別を行う
まずは、知らずに保管しているPCB廃棄物がないかを確認していきます。
PCB含有の主な廃棄物として、トランス(高圧変圧器)、コンデンサー(蓄電器)、安定器などの電気機器が挙げられます。
倉庫、物置、ボイラー室、電気室、キュービクル内、ダクトスペース、パイプスペース、屋外コンテナ倉庫、使用していない部屋、古い電気配線のあった壁などから見つかることが多いため、それらの場所を点検します。
見つかった場合、各メーカーに問い合わせてPCB含有の有無を確認します。
届出と登録を行う
PCB廃棄物が見つかった場合は、各自治体への届出を行います。指定された書類を記入し、自治体へ届け出る必要がありますが、書類の届出方法は対面・郵送など、各自治体によっても異なりますので、事前にホームページの確認や電話での問い合わせを行いましょう。
いざPCB廃棄物を処分することになった場合にも、登録と契約が必要です。環境省のホームページの一覧表より選択し、処分の契約を行うようにしてください。
廃棄物処理法に基づく無害化処理認定施設 | 環境再生・資源循環 | 環境省
保管を行う
PCB廃棄物を適切な環境で保管します。保管基準として、容易に人が立ち入らない場所であることや、周囲に囲いが設けられていることなどが定められています。倉庫や保管庫などの、施錠ができる場所が望ましいでしょう。
また、保管場所には廃棄物の種類などを示した掲示板を設ける必要があります。その際、以下の記載が必要となります。
- 特別管理産業廃棄物の保管の場所
- 保管する特別管理産業廃棄物の種類
- 保管場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先
保管中は、飛散、流出、地下浸透、悪臭を発散させないなどといった措置も必要です。
運搬して処分を行う
PCB廃棄物処分のための運搬を行います。運搬は、許可を持った専門業者に依頼をして行っていきます。
高濃度PCB廃棄物は専門業者による運搬が必須となりますが、低濃度PCB廃棄物の場合のみ、自分で運搬することも可能となる方法があります。詳しくは、「低濃度収集・運搬ガイドライン」を参考に運搬を行います。
廃棄物の適切な運搬がなされた後は、環境省のホームページに記載されている「廃棄物処理に基づく無害化処理認定施設」にて、PCB廃棄物の処分が行われます。
PCB廃棄物の処分が終了したら、自治体へ「処分終了の届出」を提出して、終了となります。
【まとめ】PCB廃棄物処理のことならYAMANI PCBへ
今回は、PCB廃棄物を処理するまでの流れと、必要な手続きについてお伝えしてきました。
PCB措置法により、「低濃度PCB廃棄物」は2027年3月31日までの処分期限が設けられています。今後の新たな環境負荷を生み出さないためにも、PCB廃棄物の適切な処理・処分は必要不可欠です。
ただ、PCB廃棄物は定めが非常に厳しいことから、「処理・処分の流れや方法がわからない」「どこに相談をしたら良いのかわからない」と、お困りの方も多くいらっしゃるはずです。そのような場合は、ぜひお気軽にYAMANI PCBまでご相談ください。潤滑油販売会社として培った知識と経験を生かし、丁寧に対応いたします。