海外でのPCB処理に対する動き

PCBは日本のみならず、海外でもDDTやダイオキシン類などと同じ残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)として問題になっています。
水質汚染や土壌汚染による生態系への影響も報告されており、ストックホルム条約によって2025年までの使用の全廃と2028年までの適正な処分が求められており、現在でも各国で処理が進められている状況です。
本記事ではストックホルム条約(POPs条約)による規制、日本を含む各国のPCB廃棄物処理基準や取り組みについて解説します。
ストックホルム条約(POPs条約)
1992年に開かれた地球環境サミットでのアジェンダ21を受けて1995年に国連環境計画(UNEP)政府間会合で採択された「陸上活動から海洋環境の保護に関する世界行動計画」では、PCBを含む12種類の残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants : POPs)の排出廃絶および低減を図る国際条約の策定が求められました。
そのため、1997年から5回の政府間交渉委員会を経て、2001年5月にストックホルムで開催された外交会議で採択されたのがストックホルム条約(POPs条約)です。
POPs条約では環境中の残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性がPOPsの製造、使用の廃絶および制限、排出の削減、これらの物質を含む廃棄物等の適正な処理などを規定しています。
各国のPCB廃棄物処理基準と国土面積当たりPCB使用量
PCBは世界各国で処理基準が設けられています。
フランスやオーストラリアでは50mg/kg、イギリスやドイツでは10mg/kg、アメリカやカナダでは2mg/kg、オランダでは1mg/kgなどとなっており、0.5 mg/kgの日本はほかの国と比べても厳しい処理基準です。
また、処理基準以外に処理方法に関する基準も各国で定めています。
海外では高濃度のPCB絶縁油は効率性を重視した高温焼却、中低濃度のPCB絶縁油は再生利用するため化学的処理をおこなうのが一般的です。
さらに、PCB廃棄物処理事業評価検討会が示したデータでは日本は国土面積当たりで比較すると、PCB使用量はEU諸国やアメリカを抜いてスイスに次ぐ世界2位とされています。
PCB使用量が多いことはPCB廃棄物の数量も膨大であると考えられ、日本では厳しい基準による適切な処理の推進が重要だといえるでしょう。
各国の取り組み
PCB汚染物が存在する国では、PCBの処理を進めるために独自の基準や法律を定めています。
日本以外の取り組みは、以下の通りです。
アメリカでは有毒物質規制法(TSCA) やPCB 商用製造/処理/流通・使用禁止規則(40CFR761)などの法律に基づき、基準値以上のPCB汚染物の高熱焼却処分を推進しています。
カナダでは50ppm以上をPCB汚染物の処理基準としていますが、5ppm以上のカリフォルニアなど州法でより厳しい基準が設けられている場合もあります。
EUでも50ppmが基準となっており、高温焼却処分や脱塩素化処理などが一般的です。
そのほか、ドイツやフランス、オランダ、オーストラリアでもPCB汚染物に対するそれぞれの基準が定められています。
【まとめ】PCB廃棄物の処理にお困りならYAMANI PCBへ!

PCBはダイオキシン類や有機塩素系農薬などと同様に、自然分解されにくく人間に害を及ぼす残留性有機汚染物質です。
ストックホルム条約により国際的な残留性有機汚染物質の廃絶や低減を目指す枠組みが設けられ、各国でPCBも処理が進められています。
日本は国土面積基準で世界でも有数のPCB使用量であり、基準に基づいた適切な処理の推進が重要です。
PCB特措法により、低濃度PCB廃棄物の処理期限は2027年3月31日と定められています。
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