PCBは触れると危険?人体への影響と応急処置の方法を解説
PCBは慢性的に摂取することで徐々に体内に蓄積し、さまざまな悪影響を及ぼします。
被害者以外に次世代にも症状が出るため、十分に注意が必要です。
本記事ではPCBの毒性を詳しく解説するとともに、万が一の飛散事故に対する適切な措置についてまとめました。
目次
PCBとは?
PCBはポリ塩化ビニルの略称で、昭和4年にアメリカで工業生産が始まったのちに世界中で生産されました。
日本でもPCBは変圧器やコンデンサなどさまざまな製品に使用されましたが、昭和43年のカネミ油性事件によって毒性が明らかになり、現在では製造や使用が禁止されています。
またPCBを含有した機器の使用を止めた際に発生する廃棄物はPCB廃棄物と呼ばれ、PCB特措法で定められた処理期限内に適切に処分する必要があります。
PCBはなぜ有害なのか?
PCBは化学的に安定した性質を持ち、毒性が判明するまでは盛んに使用されました。
ここからはPCBがもたらす人体への影響と、PCBが原因となった事件について、詳しく解説します。
人体も悪影響
PCBは脂肪に溶けやすい性質を持ち、一度吸収されると排出まで長い時間を要します。
慢性的に摂取すると徐々に体に蓄積され、爪や粘膜、皮膚の色素沈着、湿疹、目やになどさまざまな症状を引き起こします。
発がん性がある可能性もあり、現在でも症状に苦しんでいる方がいる危険な物質です。
またPCBにより胎児の低体重や仮死、色素沈着が起こることも判明しています。
PCBは本人はもちろん、次世代にも深刻な悪影響を及ぼしているといえるでしょう。
PCBによる事件
PCBに関する国内の代表的な事件といえば、カネミ油症事件です。
カネミ油症事件は1968年に食用油の製造過程で熱媒体として使用されたPCBが混入し、多くの方に深刻な健康被害を及ぼしました。
被害者には吹出物や色素沈着などの皮膚症状以外に、全身の倦怠感や食欲不振などの症状がみられ、全身の肌が黒ずんで生まれ、わずか2週間で死亡した「黒い赤ちゃん」も報告されています。
PCBに触れるとどうなる?
PCBは急性よりも慢性の毒性が強く、触れた程度では大きな健康被害につながる可能性は低いでしょう。
しかし一度環境に放出されると分解されにくいため、徐々に体内に蓄積し、がんや体調不良の原因になることが懸念されます。
PCBの飛散事故に対する措置
誤ってPCBが飛散した、手や口に付着したといった場合は焦らず適切な措置をとりましょう。
発生場所と人体に対する措置についてそれぞれ解説します。
発生場所に対する措置
PCBの飛散事故が起きたら、すぐに発生場所から人を待避させましょう。
拡散の範囲や飛散量等を確認すると同時に、安全性を確保してから汚染の除去作業をおこないます。
また、室内の場合は換気してください。
除去する際は人体にPCB油が付着しないようにゴム手袋、眼鏡、マスクなどを身につけましょう。
床材にPCB油が染み込んだ場合は、除去してPCB汚染物として保管します。
PCB油が付着した衣服や除去時に使用したウエスもPCB汚染物です。
人体に対する応急処置
PCB油が皮膚に付着した場合は植物油を脱脂綿につけて拭き取り、石鹸で洗浄します。
そのほかの応急処置は次の通りです。
- 口に入った場合はすぐに吐き出し、水で十分にうがいする
- 眼に入った場合は、多量の洗浄水で15分間以上洗眼し、3%の硼酸水で洗眼する
- 吸入した場合は、新鮮な空気の箇所で安静にする
目や口など体内にPCB油が入ったら、応急処置後に医療機関を受診しましょう。
まとめ
PCB廃棄物は化学的に安定しており、一度環境に放出されると分解まで長い時間かかります。
人体に蓄積するとさまざまな症状が現れ、次世代にも悪影響がある危険な物質です。
摂取しないためにも、PCB含有の可能性がある電気機器を見つけたらYAMANI PCBにご相談ください。
迅速に調査から処分まで、一括で対応させていただきます。