PCBが法規制されるまでの歴史とは
工業的に合成され水に溶けない、化学的に安定、電気絶縁性が高いといった特徴を持つPCBは、未だに多くが残っている状態です。
現在PCBは製造や輸入が全面的に禁止され、PCB廃棄物の処分が進められています。
本記事ではPCBの毒性が広まるきっかけとなったカネミ油性事件をはじめ、PCB特措法を中心にPCBが法律によって規制されるまでの歴史を解説します。
カネミ油性事件
カネミ倉庫社製のライスオイル製造中に熱媒体として使用されていたPCBが製品中に混入したカネミ油性事件は、西日本を中心に甚大な被害をもたらしました。
吹き出物や色素沈着などをはじめ、患者は頭痛や肝機能障害、関節症状などさまざまな症状に悩まされ、現在でも苦しんでいる方がいます。
女性への被害も深刻で、流産や死産、肌が黒ずんだ「黒い赤ちゃん」が生まれるといった事例もあり世界的にも話題になりました。
また、健康被害以外に被害者への差別や偏見も深刻な問題です。
カネミ油性事件からPCBの毒性が広く知られるようになり、昭和47年には行政指導によって全面的に製造が中止されました。
PCB特措法の公布と改正
PCBを早期に処理するため、PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)が制定され、PCB処理事業も業務として追加するよう環境事業団法も改正されました。
高濃度PCB廃棄物、または使用中のPCB使用製品の掘り起こし調査や把握、高濃度PCB廃棄物はすべてJESCOで適切な処分がおこなわれることなどが明記されています。
しかし公布された時点では処分や廃棄は義務化されていません。
改善命令や罰則に関する法律もなく、PCBの処理を期限内にすべて終了するのは非常に困難だったといえるでしょう。
平成24年には低濃度PCB廃棄物の存在や処理が想定より遅れていることから、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画が改定され、処理期間は令和9年3月31日に変更されました。
PCB特措法も平成28年度に高濃度PCB廃棄物処分の義務付けや報告徴収および立入検査権限の強化といった改正がおこなわれ、現在でも処理が続いています。
POPs条約
PCBは使用している地域の汚染がPCB不使用の地域まで拡大したため、国際的な規制の取り組みもおこなわれています。
POPsはPCB、DDT、ダイオキシンなど環境中での残留性が高い、生物に蓄積する、毒性が高いといた特徴を持つ汚染物を指し、廃絶と削減を目指して2001年に残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)が締結されました。
残留性有機汚染物質から人の健康及び環境の保護を目的として2004年2月に発効され、日本はPOPs条約を2002年8月に締結</strong>しました。
POPs条約では令和7年までに機器内における使用の廃絶、令和10年までに適正な管理を求めており、加盟国に課される義務は次の通りです。
- 製造、使用、輸出入の原則禁止(附属書A)
- 製造、使用、輸出入の制限(附属書B)
- 新規POPsの製造および使用防止のための措置をおこなう
- 非意図的生成物(附属書C)の排出の削減および廃絶
- 在庫、廃棄物を適正に処理する
- PCB含有機器は2025年までに使用廃絶、2028年までに廃液、機器を処理する
- POPsの調査やモニタリング、研究など
各国は法令によってPOPs廃絶のために規制しており、日本では主に化審法と農薬取締法が該当します。
【まとめ】PCB廃棄物の処理ならYAMANI PCBへ!
PCB廃棄物は期限内に処分する必要があります。
高濃度PCB廃棄物は既に処理期限が終了しており、低濃度PCB廃棄物の期限は2027年3月31日です。
YAMANI PCBなら豊富な処分実績があり、さまざまな業務を一括で請け負っています。
高濃度PCB廃棄物を発見した際はもちろん、PCB廃棄物に関することなら、何でもご相談ください。