低濃度PCB廃棄物の調査方法
身の回りにPCB廃棄物が隠れていませんか?
PCBとは、ポリ塩化ビフェニルの略称です。主に油状をした人工的な化合物で電気機器や熱交換器など、幅広い用途で使われてきました。
PCBの利用が広まったのは水に溶けにくい、熱で分解されにくい、燃えにくい、絶縁性が高く電気を通さないなど、化学的に魅力的なメリットが豊富だからです。しかし、人間が摂取すると呼吸器や皮膚などに悪影響を及ぼす毒性が明らかになり、現在は製造と輸入の両方が禁止されています。
令和10年の廃絶のために高濃度PCB廃棄物はもちろん、低濃度PCB廃棄物の処理も迅速に進めなくてはいけません。
今回は低濃度PCB廃棄物の調査方法を詳しくまとめました。
高濃度PCB廃棄物とは?
高濃度PCB廃棄物に高濃度PCBを含有している、もしくは分析によってPCB濃度が5,000mg/kgを超えた製品です。
高濃度PCB廃棄物は中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)で処理がおこなわれます。高濃度PCB廃棄物の可能性が高いのは、電圧を変更する高圧トランスや高圧コンデンサ、安定器と呼ばれる電気機器です。
ただし、昭和47年にPCBを利用した機器の生産は中止されているため、昭和48年以降に製造された製品は高濃度PCB廃棄物ではありません。またPCB特措法によって高濃度PCB廃棄物は、令和3年(2022年)までに処分するよう定められていました。
現在、高濃度PCB廃棄物を所有している場合は、罰金や懲役になる可能性もあります。早急に調査と処分を依頼しましょう。
低濃度PCB廃棄物とは?
PCB濃度が0.5mg/kg~5,000mg/kg以下の製品は低濃度PCB廃棄物に分類されます。
低濃度PCB廃棄物は、無害化処理認定施設で処理しましょう。
主に電圧を家庭用に変更する柱上トランスや電線に使われるOFケーブルと呼ばれる機器及び橋梁塗膜が低濃度PCB廃棄物に該当します。また、工場やビルなど多くの電気を必要とする施設に設置される高圧受電設備も低濃度PCB廃棄物に該当する可能性があります。
どちらも電柱に取り付けられている設備のひとつで、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
低濃度PCB廃棄物は外見ではわからないため、PCB濃度を測定するまで汚染されているか判断できません。PCBは禁止されるまでさまざまな製品に広く使用されていました。使用していないとされていても、実際にはPCBが使用されている可能性もあります。
製造から数十年が経っている場合は調査しておくと安心でしょう。
低濃度PCB廃棄物の調査方法
高圧受電設備やコンデンサなどは、PCBに汚染されている可能性が高い電気機器です。
病院、工場、大型施設など電気を多く使用する建物のそばで、白色で変電設備と表示されている金属の箱を見た経験はないでしょうか。金属箱はキュービクルと呼ばれ、高圧受電設備など機器一式がすべて収まっています。
PCBは禁止される以前、受電設備のひとつである変圧器(トランス)やコンデンサに広く利用されていました。
平成5年(1993年)以前に製造された受電設備や、平成2年(1990年)以前に製造されたコンデンサ、絶縁油の交換や継ぎ足しがおこなわれた電気機器は、低濃度PCB廃棄物に該当する可能性が高いです。思い当たる場合は専門業者に分析を依頼しましょう。
PCB濃度が0.5mg/kgを超えた場合は早急に処分と届出が必要です。届出は電気機器を設置している場所を管轄する産業保安監督部に提出してください。また、0.5mg/kg下の場合は使用を継続できますが、廃止後に再度分析を実施することをおすすめします。
ただし、PCB特措法によって低濃度PCB廃棄物の処分期間は令和9年(2027年)3月31日までと定められているので注意してください。
まとめ
PCBは体内に入ると、健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
子や孫の世代まで健康被害が発生する次世代被害も報告されており、後遺症も深刻です。毒性が明らかになる以前はさまざまな電気機器に幅広く使用されたため、製造されて20年以上経つ機器はPCBに汚染されているかもしれません。
また、低濃度PCB廃棄物は令和9年(2027年)3月31日に処分する必要があります。PCBに汚染されているかは外見ではわかりません。まずは、低濃度PCB廃棄物に該当しないか分析をおこないましょう。
Yamaniなら、PCBに関わるすべての業務に対応でき、低濃度PCB廃棄物も分析から処理まで一貫しておこないます。PCBについて疑問や悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。